研究概要 |
山梨県酪農試験場でペレニアルライグラス100品種の耐暑性が評価された。このうち耐暑性の異なる28品種を用いて,グロースチャンバーを用いた制御環境条件下での実験を行い,耐暑性に関わる生理的メカニズムを解明しようと試みた。各品種をポット条件で40日間26℃で生育させた後,36℃の適度な高温ストレス下で40日間生育させ,その間のストレス障害度を,クロロフィル蛍光測定(Fv/Fm)と脂質の過酸化度(MDS)から評価し,また光合成速度,葉の過酸化水素濃度,アスコルビン酸濃度やAPx(Ascorbate peroxidaze)活性などを調べた。得られた結果は下記の通りである。 1Fv/Fmで評価したストレス傷害度はストレス開始後30日まで品種間の大きな差は見られなかったが,40日後に大きな差が見られた。2過酸化水素濃度が高いほどストレス障害も大きく,酸化ストレスカ耐暑性に大きく関わっていることが示唆された。3アスコルビン酸濃度とAPX活性にも正の相関がみられ,耐暑性の高い品種は,活性酸素種を消去する能力が高いことが示唆された。
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