研究概要 |
平成22年度はC3型とC4型光合成回路をもつイネが牧草種の比較を行い,温暖化耐性の高いC4型牧草種が顕著に高い酸化ストレス耐性を示すことが分かったが,調査個体数の不足のため測定できなかったデータを平成23年度に年度を越えて測定した。平成23年度に測定した特性は,活性酸素の消去に関わる,アスコルビン酸パーオキシダーゼ(APX)とアスコルビン酸(AsA)である。また,同時に葉の解剖学的特性を顕微鏡により測定した。その結果,高い温暖化耐性を示したC4型牧草種が,必ずしもAPX活性やAsA濃度が高いわけではないことが分かった。このことは,C4型草種の高い温暖化耐性は,発生した活性酸素を消去する能力が関わっていないことを示している。一方,葉の構造的特性,特に比葉面積(単位重さ当たりの葉の面積)や葉の厚さが光化学系IIの機能損傷(Fv/Fm)や脂質の過酸化度と関係しており,活性酸素の生成を抑える葉の構造がC3型とC4型の牧草種の温暖化耐性に関係していることが示唆された。
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