反芻家畜におけるプロラクチン(PRL)分泌機構へのサルソリノール(SAL)の関与を明らかにするために次ぎの2つの実験を行った。(実験1):PRL分泌は日長により変化するので、一定温度下で照明を変化させ、光の変化がSALよるPRL分泌調節機構に及ぼす影響を調べた。(実験2):ドーパミン(DA)とSALの関係を明らかにするために、DAアゴニスト(ブロモクリプチン)による処理を行い、SALのPRL放出反応を調べた。 (実験1):雌シバヤギ5頭を供試し、生物制御環境施設内で、環境温度を20℃及び5℃に設定し、長日(16時間明:8時間暗)及び短日(8時間明:16時間暗)条件下でシバヤギの頚静脈内にSAL(5mg/kg b.w.)を投与して経時的に採血を行い血中のPRL濃度の変化を調べた。またDAのアンタゴニスト(スルピリド、0.1mg/kg b.w.)を用いて、同様の実験も行った。その結果、20℃及び5℃下とも長日条件下におけるSALによるPRL放出反応は短日条件下における反応に比べ有意に高いことが明らかになった。またスルピリドもSALと同様に長日条件下でPRL放出反応が高くなることも分かった。 (実験2):雄シバヤギ3頭を供試し、7月に実験を行った。ブロモクリプチン(0.1mg/kg b.w.)を3日間筋肉内投与した後、SALを静脈内に投与して、経時的に採血を行い血中のPRL濃度の変化を調べた。その結果、ブロモクリプチンはSALにより誘起されたPRLの放出を抑制することが分かった。 これら2つの実験から日長がSALによるPRL放出反応を修飾すること、またDAはSALによるPRL分泌機構と関係のあることが明らかになった。
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