研究課題/領域番号 |
21380170
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
麻生 久 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (50241625)
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研究分担者 |
山口 高弘 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20111297)
大和田 修一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (00183244)
渡邊 康一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (80261494)
北澤 春樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (10204885)
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キーワード | M細胞 / プリオン蛋白 / トランスサイトーシス / 膜蛋白 / 輸送小胞体 / 磁気ビーズ / プロテオミクス解析 / aldolase A |
研究概要 |
本研究課題は、経口摂取プリオン蛋白の腸管M細胞を介した侵入機構の解明を目的とする。世界に先駆けて樹立に成功したウシおよびマウスの腸管上皮細胞株のM細胞分化誘導系と磁気ビーズ蛋白捕捉法を用いて、腸管上皮M細胞のプリオン蛋白取り込みに関わる膜輸送蛋白複合体トランスポートゾームライブラリーを構築し、M細胞のプリオン蛋白取り込みに関わる蛋白の同定と発現調節機構の解明を試みるものである。本年度は、M細胞に分化誘導したウシ腸管上皮細胞がプリオン蛋白結合磁気ビーズを取り込んだ細胞内小胞を回収し、2次元スポット解析およびLC-MS/MS解析を行った。【方法】組み換え型ウシPrPを精製し、1個当たり3.14amole結合した磁気ビーズを作製した。ウシ腸管上皮細胞株をM細胞に分化誘導させ、磁気ビーズあるいはウシPrP結合磁気ビーズを添加して9時間の培養を行い、細胞内に磁気ビーズ取り込ませた。磁気ビーズを含有する細胞内小胞は、磁気スタンドを用いて回収し、2次元電気泳動を行い、特異的に発現しているスポットを切り出してLC-MS/MS解析による蛋白同定を行い、組織における発現を解析した。【結果】M細胞に分化したBIE細胞より回収した蛋白で、磁気ビーズのみの対象区と比較してウシPrP結合磁気ビーズ添加区において強く発現している5個の蛋白スポットを確認した。分子量40kDaのスポットに着目し、LC-MS/MS解析によりaldolase Aであることが判明した。aldolase Aはウシ空腸上皮には発現が確認されなかったが、回腸バイエル板濾胞随伴上皮(FAE)で発現していた。回腸のaldolase A陽性細胞は、ウシ腸管M細胞マーカーのサイトケラチン18と共染色されたことにより、M細胞であることが判明した。aldolase Aは糖質を分解する機能を有し、脳神経組織や小腸に発現していることが報告されている。また、類似したAldolase Cがプリオン蛋白に親和性があることが報告されでいることから、aldolase Aは腸管上皮M細胞のプリオン蛋白取り込みに関わる膜蛋白である可能性が考えられた。
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