研究課題/領域番号 |
21380175
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
金子 浩之 独立行政法人農業生物資源研究所, 生殖機構研究ユニット, 上級研究員 (60343993)
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研究分担者 |
菊地 和弘 独立行政法人農業生物資源研究所, 生殖機構研究ユニット, 上級研究員 (20360456)
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90298232)
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キーワード | 応用動物 / 発生・分化 / 発生工学 / 未成熟生殖細胞 / 異種間移植 / 胚発生 / ガラス化 / 超低温保存 |
研究概要 |
平成21年度では、1)ヌードマウスに移植したブタ原始卵胞由来の発育卵の胚発生能の改善、および2)ブタ原始卵胞卵のガラス化冷却法の開発を目的として、以下の研究を実施した。 1)胚発生能の向上:これまでの研究成果から、ヌードマウスに移植したブタ原始卵胞由来の発育卵の胚発生能は、屠場由来の成熟卵の細胞質小片を融合させること(融合卵)によって、著しく改善されることが判明した。今年度は、融合卵作製の最適条件を明らかにするために、融合させる細胞質小片の数の検討を行った。マウスから回収したブタ卵を体外成熟させた後に、屠場由来の成熟卵から遠心操作によって調整した細胞質小片を、1卵あたり1個または3個ずつ電気融合した。融合卵に体外受精を行い培養後7日目に胚(胚盤胞)への発生状況を観察した結果、細胞質小片を1個融合させた場合には胚発生は認められなかったが、3個融合させた場合には融合卵の8%が初期胚へと発生した。以上の結果から、マウス体内で発育させたブタ卵に胚発生能を付与するためは、屠場由来の成熟卵の細胞質小片を3個融合することが必要であることが明らかとなった。 2)ガラス化条件の検討:ガラス化液は組織に浸透して耐低温性を与える反面、室温では浸漬時間に応じて細胞毒性を持つ。そこで原始卵胞卵に対して浸透時間が十分で、かつ細胞毒性が少ない浸漬時間を検討した。生後20日齢の原始卵胞より構成されるブタ卵巣を1mm角に細切し、エチレングリコール等を含んだガラス化液に45秒または7分間浸漬させた後、液体窒素上に浮かべたアルミホイルの上で超急速に冷却した。固化(ガラス化)した卵巣小片を液体窒素内に保存した後、原始卵胞卵の生存性を正確に解析するために、卵巣小片を免疫不全マウスに移植し、卵の発生能を解析した。その結果、45秒区では19匹中7匹、7分区では19匹中8匹のマウスで、超低温保存卵巣の生着と胞状卵胞の発育が観察された。
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