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2009 年度 実績報告書

乳腺組織形成と乳腺腫瘍におよぼす脂肪細胞の新たな役割とその分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 21380177
研究機関北海道大学

研究代表者

木村 和弘  北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30192561)

研究分担者 岡松 優子  北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (90527178)
キーワード脂肪細胞 / 乳腺 / 乳癌 / レプチン / 肥満 / 泌乳
研究概要

乳腺間質脂肪細胞による乳腺の発達調節機構の解明のため、食餌性肥満(HFD)マウスと対照(ND)マウスという脂肪細胞の状態が大きく異なる2群のマウスを用い、それらの乳腺発達過程を詳細に検討した。未妊娠の乳腺では、両群とも複数の枝分かれをもつ導管が乳腺間質である皮下脂肪組織全体に広がっていたが、HFD群では皮下脂肪組織の拡大にともなって導管を伸長し、ND群に比べ分枝頻度が低下した粗な導管形態を示した。また、ND群の乳腺導管は管腔上皮細胞と筋上皮細胞の二層の上皮細胞層からなるのに対し、HFD群の乳腺導管は筋上皮細胞層が不完全であり、部分的に欠損していた。さらに、乳腺導管を取り囲む1型コラーゲンを含む膠原線維層はHFD群でND群に比べて肥厚していた。妊娠を誘導すると、ND群では妊娠8日目に乳腺上皮細胞の増殖増加を伴って導管から側方に導管側枝が出芽し、妊娠13日目では導管側枝の先端に腺房構造が認められた。妊娠18日目では腺房はさらに大きく発達し、乳脂肪滴の蓄積や乳蛋白質遺伝子の発現が認められた。一方、HFD群は、妊娠8日目では有意な細胞増殖の増加が見られず、導管側枝の出芽もND群より少なく、その後の乳脂肪滴の形成や乳蛋白質遺伝子の発現など腺房機能の発達も遅延した。つまり、乳腺間質脂肪細胞の肥大化は乳腺の形態学的及び機能的発達を妊娠前および初期の段階で遅延らせることが明らかとなった。さらに培養細胞を用いた実験により、肥満マウスで分泌が増大した脂肪細胞分泌因子、レプチンが乳腺上皮細胞の増殖を抑制し、線維芽細胞での1型コラーゲン産生を増大させることを明らかにした。つまり、これらの結果は過剰に分泌されたレプチンが細胞増殖抑制や導管周囲の線維化を介して乳腺発達を抑制したことを示唆した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Diet-induced obesity disrupts ductal development in the mammary glands of nonpregnant mice.2009

    • 著者名/発表者名
      Kamikawa, A., et.al.
    • 雑誌名

      Dev.Dyn. 238

      ページ: 1092-1099

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Role of protease inhibitors and acylation stimulating protein in the adipogenesis in 3T3-L1 cells.2009

    • 著者名/発表者名
      Soliman, M.M., et al.
    • 雑誌名

      J.Vet.Sci. 10

      ページ: 197-201

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Feline adiponectin : molecular structures and plasma concentrations in obese cats.2009

    • 著者名/発表者名
      Ishioka, K., et al.
    • 雑誌名

      J.Vet.Med.Sci. 71

      ページ: 189-194

    • 査読あり
  • [学会発表] 肥満の成因・病態とビタミンAによる脂肪量の調節2010

    • 著者名/発表者名
      木村和弘
    • 学会等名
      第149回日本獣医学会(シンポジュウム)
    • 発表場所
      日本獣医生命科学大学(東京都)
    • 年月日
      20100300
  • [備考]

    • URL

      http://www.vetmed.hokudai.ac.jp/

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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