研究課題
術後腸麻痺モデルにおいては、消化管外科手術の腸摩擦による炎症刺激により、奨膜中皮細胞が傷害を受けること、そして炎症によりαブンガロトキシン親和性でさらに抗α7nACh受容体抗体で染色されるED1陽性の単球由来マクロファージとED2陽性の常在型マクロファージサブセットが炎症部に出現し、壁内神経叢刺激による放出AChがα7nACh受容体を介して炎症応答を抑制し術後腸麻痺を改善させることを見いだし、Gut誌(IF9.357)に論文が受理された。また、EP2KOマウスを用いた解析から、PGE2/EP2シグナルがLPS投与腹膜炎モデルにおいてiNoS誘導に重要な役割を担うことを明らかにした。これについては、今後さらにEP2KOマウス骨髄移植マウスを用いることにより、腹膜炎時に骨髄細胞由来のマクロファージが重要なのか、中皮細胞が重要なのか解析していく基礎を築くことができた。一方、In vitroの解析では消化管奨膜中皮細胞にα7nAChRが発現していることを見いだし、LPS刺激によるサイトカイン産生を非選択的nAChR作動薬であるエピバチジンが有意に抑制することを明らかにした。さらに、電子顕微鏡所見により近位結腸奨膜部にシナプトフィジンと高親和性コリントランスポーター(CHT1)陽性の末梢神経が認められ、奨膜中皮細胞での迷走神経制御の可能性が初めて示唆された。細胞伸展刺激を用いた中皮細胞の遺伝子発現解析については、実験装置の整備と培養条件の調整に時間がかかり、現在、遺伝子発現解析を目指したサンプル調整中の段階である。来年度早々に、メカノセンサーの同定や発現変動遺伝子についての解析を実施する。
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