研究課題
ネコ免疫不全ウイルス(FIV)はネコに後天性免疫不全症候群を引き起こす。ネコ星状細胞腫由来G355-5細胞はネコCD134(fCD134;別名ネコOX40(fOX40))を発現させることで、様々なリンパ球指向性分離株(TM2株など)に高感受性になる。本年度はG355-5/fOX40細胞におけるFIVの受容体スイッチング現象を詳細に解析した。TM2株が持続感染したG355-5/fOX40細胞からウイルス(TM2PI株)を回収し、G355-5細胞、G355-5/fOX40細胞、CRFK細胞(ネコ腎由来細胞)、3201細胞(ネコ胸腺細胞腫)、FeTJ細胞に接種(ネコリンパ球株化細胞)、ウイルスの増殖性を調べた。その結果、TM2PI株はG355-5細胞に効率よく感染し、培養上清中にウイルスが放出された。また、TM2PI株はfCD134陰性のCRFK細胞、3201細胞、FeTJ細胞に感染したが、増殖はほとんど見られなかった。TM2PI株ではenv領域にアミノ酸配列の変異(W357R、E407K)が見られた。また、TM2PI株の感染はAMD3100で阻止されたことから、CXCR4分子を受容体とすると考えられた。以上の結果からTM2PI株はfCD134非依存的CXCR4依存的に感染することが明らかとなった。しかし、CRFK細胞、3201細胞、FeTJ細胞で増殖するためには、さらなる変異が必要であることが示唆される。
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Journal of Veterinary Medical Science 72
ページ: 117-121
Journal of Virology 84
ページ: 3690-3694
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