研究概要 |
本研究はツェツェバエ体内型アフリカトリパノソーマのうち下咽頭内壁で細胞接着依存性に動物感染性メタサイクリック虫体へと分化するエピマスティゴート虫体の特異表面抗原CESPとメタサイクロジェネシスおよびベクターパラサイト相互作用との関連を分子レベルで明らかにし,伝播阻止ワクチン開発への手掛かりを求めることを目的とする。本年度は距Trypanosoma congolense全発育ステージ虫体由来トータルプロテインわよびRNAを抽出し、カナダビクトリア大学(テリーピアソン博士)およびアイオワ大学(ジョンドネルソン博士)との共同でプロテオーム解析、蛋白質発現量ディファレンシャルディスプレイ解析、ESTデータベース構築と解析を実施した。プロテオームおよびディファレンシャルディスプレイを詳細に解析した結果、我々がクローニングしたCESP以外に3種類のまったく新規なエピマスティゴート型虫体特異的蛋白質が同定された。一方構築したESTデータベースはサンガーセンターから一般に公開(http://www.sanger.ac.uk/Projects/T_congolense/EST_index.shtml)され、今後広くトリパノソーマの分子寄生虫学的研究に活用されることが期待される。加えて、同ESTデータベースの詳細を解析し、分子寄生虫学分野で権威あるMolecular and Biochemical Parasitologyに論文発表した。
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