研究分担者 |
竹内 正吉 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00171611)
三宅 眞美 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10251175)
加藤 啓子 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (90252684)
中嶋 秀満 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30405360)
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研究概要 |
1.毒素とC3酵素の調製(担当:小崎,三宅) 高品質・高純度のA型ボツリヌス毒素(AINTXおよびA2NTX)の大量調製した。また、C3酵素の神経細胞死および神経再生効果を検証するために、Tat配列付加C3酵素のクローニングを行い大腸菌BL21(DE3)での大量調製を実施した。 2.中枢神経系疾患モデルに対する毒素の効果判定(担当:竹内,加藤,中嶋) 本年度は,次年度に引き続き、ラット60HDA誘発片側黒質線条体破壊モデルを用いて、抗パーキンソン病治療薬としてのボツリヌス毒素(以下、毒素)の有効性試験を実施した。平成21-22年度において、抗難治てんかん治療薬を指向したマウス扁桃体キンドリングモデルでの評価を行い、A2NTXと市販ボツリヌス製剤Botox(A1NTXと無毒成分混合)とのてんかん発作抑制効果を比較し、A2NTX投与群がBotox投与群と比べて,フリーズ時間,ステージレベルおよびてんかん後発射持続時間において,発作発現を有意に抑制することを見出した。これらの知見を元に、ラット60HDA誘発片側黒質線条体破壊モデル(パーキンソン病モデル)を作製し、A2NTX投与群とA1NTX投与群の比較評価を実施した。有効性(治療効果)の指標としてメタンフェタミン誘発旋回行動(運動機能障害)を測定した。その結果、A1NTX投与群およびA2NTX投与群では、0.5ng/site線条体単回投与により60.3%(p<0.05)および56.9%(p<0.01)の有意な旋回行動抑制効果を示した。また、0.1ng/site線条体単回投与では、A1NTX投与群では効果は無く、A2NTX投与群で33.5%(p<0.05)の有意な旋回行動抑制効果を示した。以上の結果は,小崎,三宅により調製されたA2NTXが,てんかん発作抑制に効果に加え、パーキンソン病の運動機能回復効果も期待されることを示していた。さらに、ラット中大脳動脈閉塞モデル(脳梗塞モデル)を作製し、Tat配列付加C3酵素を虚血中心巣である線条体に虚血前投与し、脳梗塞体積に及ぼす影響(脳保護効果)測定中である。
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