研究概要 |
ロドコッカス・エクイ強毒株病原性プラスミドは、制限酵素EcoR I及びHind IIIの切断像の違いから16種類に型別され、(1)85kb I,II,III,IV型(2)90kb II,V型(3)87kb I,III型(4)90kb I,III,IV型(5)87kb IIa, IIb,IIc,IId型(6)52kb型に分類される。この中でグループ(4)と(5)に属する病原性プラスミドは日本に分布している。平成23年度の研究では、岩手県馬飼養環塊土壌由来株<52-4>と、オーストラリアの病馬由来株、更に北海道の病馬の肺由来株<2-2,2-3,2-6,2-9>などの病原性プラスミド型について、平成22年度に本研究で報告したPCRを利用したプラスミド型別法を新たに取り入れ、既知の17種のプラスミド型と比較し、その正確性と有用性を確認するとともに、それらの株の解析を実施した。北海道の病馬の肺病変由来株<H2>から、これまで北海道では見られなかった90kb IV型を初めて検出した。岩手県馬飼養環境土壌由来菌株<52-4>の病原性プラスミドのEcoR I切断像は87kb IIa型に類似していたが、87kb IIa型の1本の断片に欠損が生じ、87kb IIa型と比べて、サイズが小さくなっていた。そこで、この菌株を新型とし、87kb IIeと命名した。これにより、強毒株は全部で18種類となった。次にオーストラリアの馬由来の14菌株を解析したところ、EcoR I切断像は全て、85kb I型を示したが、Hind IIIとEcoT22 Iでは14株中6株で85kb I型と異なる2種類の切断像を示した。そこで、PCRやサザンプロット法を利用して更に解析を進めたところ、その一つは潜在性プラスミドの切断像の可能性が強く、他5株は新型と考えられ、詳細に検討している。北海道の馬由来株についてもEcoR I切断像が既知の87kb IIa型より1本多く、現在詳細な検討を行っている。強毒株の病原性プラスミドの多型性が日本及びオーストラリアの病馬由来で認められ、これらは疫学調査の有効な指標となるであろう。
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