研究課題
本研究では、マダニの原虫伝播制御に関わる殺バベシア原虫蛋白質(TBP: tick babesiacidal protein)の機能と構造をもとに設計・合成したペプチドを用いて、バベシア症の発症をもたらす赤血球寄生期(赤内型原虫)の発育・増殖を特異的に阻害しうる有効かつ安全なバベシア症治療薬の開発を目的とする。本年度は、昨年度までに実施した第1次試験(バベシア原虫in vitro培養系において、TBPをもとに合成したペプチドの原虫増殖抑制効果の検証とノックダウンマダニを用いてのTBPの内在性機能解明)の成果をもとに、次の研究項目を実施した。1.イヌにおける原虫増殖抑制効果の検証第2次試験で有効性が確認されたTBPより混合ペプチドを作製し、前年度までに有効性が確認されているペプチドについて、イヌで安全性評価に向けた臨床病理学検査項目を追加しながら検討した。パラシテミアの変動と形態変化の解明:B.gibsoni感染イヌを用いて、パラシテミアから混合ペプチドの赤血球寄生原虫増殖抑制効果を検討した。第1、2次試験で得られた所見をもとに治療効果とともにペプチドの予防効果も検証し、血液臨床病理検査を取り入れ、物用医薬品対象動物安全性試験ガイドラインに沿って実施した。2.前臨床試験野外での臨床試験を想定し、B.gibsoniを保有するフタトゲチマダニの感染幼ダニを作製し、ビーグル犬に付着させ、自然界と同等のルートで感染、発症したバベシア原虫感染イヌを作製し、パラシテミアを指標に臨床経過を追い、上記の試験で同定された混合ペプチド剤投与による効果を安全性と臨床病理学的所見を交え、治療薬としての有効性を検証した。以上の成果から検討を重ねてきたペプチドの中ら、ロンギシン由来の合成ペプチドがイヌバベシア症の予防・治療として有効であることが判明した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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