研究課題
全国の犬1427頭の末梢血からDNAを収集し、欧米で問題となっているAnaplasma phagocytophilumをはじめとする新規アナプラズマ科細菌感染状況をPCRにより調査したところ、A.phagocytophilumについては陽性が得られなかったが、13頭(0.9%)がAnaplasma bovis陽性を示し、同病原体が犬にも感染する可能性がはじめて示された。しかし犬の臨床症状との関連は不明であり、病原性は明らかにできなかった。また、47都道府県で飼育される猫1764頭についてエーリキアおよびアナプラズマ病原体感染状況を検索したところ、愛媛県の猫2頭からA.bovis遺伝子断片が検出され、本病原体が猫に感染することが示唆された。なお、陽性猫2頭はいずれも猫免疫不全ウイルス感染猫であり、宿主の免疫不全状態と感染が関与しているものと考えられた。さらに北海道の一牧場の放牧牛のうち、2007年からA.phagocytophilumまたはA.bovis感染が認められている5頭を継続して観察したところ、A.bovis-PCR陽性の1頭は、2009年も継続的にA.bovis陽性を示したものの、臨床症状は認められなかった。北海道のアライグマ末梢血を収集し分子生物学的方法により新規アナプラズマ科細菌の検出を試みたところ、210検体中8検体(3.8%)が陽性を示した。PCR産物の遺伝子解析では6検体でA.bovisと相同性の高い遺伝子が検出された。北海道十勝地方のエゾシカ脾臓を用い、A.phagocytophilum感染状況をPCR法により調査したところ、27検体中10検体(37%)が陽性を示した。アライグマとエゾシカといった野生動物がこれら新規アナプラズマ病原体の保菌動物となる可能性が示唆された。
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