研究課題
国内で検出されたAnaplasma phagocytophilumおよびAnaplasma bovisの分子生物学的位置付けを明らかにする目的で、それぞれの種の16S rRNA遺伝子に加え、クエン酸合成酵素遺伝子(glt A)および熱ショック蛋白遺伝子(groEL)の完全配列を決定し、既知種の遺伝子配列と比較検討した。その結果、我が国のA.phagocytophilum の16s rRNA、glt A およびgroEL の遺伝子配列は、欧米で分離されている種の遺伝子配列とは著しく相同性が低く、近縁ではあるが別種である可能性が考えられた。なお、日本の動物から検出されたA.bovis の遺伝子配列は、既知種と一致した。また、遺伝子解析結果に基づきそれぞれの種に特異的なPCR法を開発し、北海道の馬およびマダニについてその感染状況を検査した。北海道日高地域に放牧される競走馬87頭について、A.phagocytophilumおよびA.bovis の感染状況を調査したが、陽性は検出されなかった。ただし3頭の馬に寄生していたマダニ10個体を検索したところ、1個体からA.phagocytophilum遺伝子断片が、また4個体からA.bovis遺伝子断片が検出され、日本の放牧馬がこれら病原体に暴露されている可能性が示唆された。また、北海道十勝地方の山林におけるマダニを検査したところ、シュルツェマダニの17.5%(17/97)およびヤマトマダニの1.2%(1/82)からA.phagocytophilum遺伝子断片が検出され、これらのマダニがベクターである可能性が示唆された。
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Vector Born.Diseases
巻: (印刷中)
Japanese Journal of Infectious Disease
巻: 63 ページ: 349-352
巻: 63 ページ: 353-335