研究概要 |
・新しい超音波造影剤を用いた造影超音波検査による肝腫瘤性病変の診断方法の開発 新規超音波造影剤ソナゾイドは静脈注射により血管が造影される(血管相)だけでなく、その後、肝臓のクッパー細胞により造影剤の取り込みがおこることによって、肝臓特異的で持続的な造影効果が得られる特徴がある。今年度の研究で犬の肝腫瘤性病変では良性病変の多くでクッパー細胞が残存し造影される一方、悪性病変ではクッパー細胞が認められないため、造影がおこらず、周囲の肝臓が造影されるために造影欠損像として観察されることが明らかとなった。 ・分子生物学的マーカーを用いた慢性肝炎・繊維化の診断方法の確立 文献検索によって得た実験動物および人での情報をもとに選抜し、線維化マーカーとなりうる候補遺伝子を選定し(collagen I, collagen III, collagen I・V, TGF-beta, PDGF-b, mmp2, timp1, Endothelin1)、肝生検が適応となった犬の症例において、病理組織学的検査とともに、候補遺伝子の発現を定量的PCRを行った。その結果、ヒトや実験動物と同様に、線維化遺伝子マーカーの発現量は組織の線維化の重症度と相関することが明らかとなった。 肝臓の線維化・脂肪変性を反映する血中マーカーの検討 今年度は血中の肝線維化マーカーとしてヒアルロン酸の検討を行った。結果として犬の組織学的線維化の程度と血中ヒアルロン酸濃度は明らかな相関を認めなかったものの、肝硬変などの末期的な線維化状態の場合には有意にその血中濃度が上昇することが明らかとなった。
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