研究課題/領域番号 |
21380195
|
研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
新井 敏郎 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (70184257)
|
研究分担者 |
石岡 克己 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (60409258)
山本 一郎 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (00424763)
橋本 晴夫 日本獣医生命科学大学, 実験動物中央研究所, 研究員 (30353478)
|
キーワード | 動物 / 肥満 / 糖尿病 / 遺伝子 / インスリン / 早期診断 |
研究概要 |
21年度は、犬猫の肥満・糖尿病の早期診断法の開発のために、肥満の病態の基となるインスリン抵抗性発現につながるインスリンシグナル伝達メカニズムの変動について検討することを目的として研究を進めた。その結果、以下の成果を得た。 1.猫では犬に比べ、組織(白血球、肝臓、脂肪組織など)におけるインスリンシグナル伝達に関わる因子としてインスリンレセプター基質2(IRS-2)、ホスファチジルイノシトールキナーゼ(PI3-K)などのmRNA発現が有意に低いことが明らかとなった。 2.肥満した動物ではインスリンシグナル伝達に関わる物質のmRNA発現量(特にIRS-2,PI3-K)が有意に低下することが明らかとなった。また、猫ではその傾向が顕著であった。 3.IRS-2ノックアウトマウスに高脂肪食を給与すると、早期に肥満を呈し、顕著なインスリン抵抗性を示した。肥満したマウスでは、インスリンシグナル伝達に関わる物質のmRNA発現量が低下するだけでなく、アディポネクチン、レジスチンなど脂肪細胞から分泌されるアディポカインの量も有意に変動した。 4.肥満、糖尿病となった犬では、末梢リンパ球サブセットが変化し、免疫機能の低下が示唆された。 以上のことから、肥満および糖尿病動物では、インスリンシグナル伝達に関わる物質やアディポネクチンなどアディポカインの遺伝子発現量が有意に変動すること、またこれらの変化は、血糖値や中性脂肪値など従来の血液代謝マーカーの変動に先行して現れることが明らかとなり、これら物質は肥満、糖尿病の早期の診断マーカーとして有用性であることが示唆された。
|