研究課題/領域番号 |
21380195
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
新井 敏郎 日本獣医生命科学大学, 日本獣医生命科学大学, 教授 (70184257)
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研究分担者 |
石岡 克己 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (60409258)
山本 一郎 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (00424763)
橋本 晴夫 日本獣医生命科学大学, 実験動物中央研究所, 研究員 (30353478)
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キーワード | 動物 / 肥満 / 糖尿病 / 遺伝子 / インスリン / 早期診断 |
研究概要 |
22年度は、犬猫のメタボリックシンドローム(MS)の診断基準を作成し、これを基にした発生率の調査を行った。MSの診断基準にインスリンシグナル伝達に関与する遺伝子IRS-2, PI3 kinaseを加えるとより早期にMSの診断が可能であることが明らかとなった。以下の成果を得た。 1.過体重を基盤とし、高脂血症、高血糖、脂肪肝の3条件のうち2つ以上に該当するものをMSと判定する基準を作った。これを基に都内の獣医師の協力を得て、発生率の調査を行った結果、犬猫それぞれ健康と診断される動物のうち12~13%がMSと判定されることとなった。また、MS動物ではアディポネクチン濃度が有意に低下しており、アディポネクチンはMSや肥満の判定に有力なマーカーとなることが明らかとなった。 2.犬と猫の血中のコレステロール分画の測定を行った。犬では肥満するとα2分画(HDL-1コレステロール)の割合が増加、猫ではβ分画(LDLコレステロール)の割合が増加することが明らかとなった。これらの変化は肥満の初期に見られるので、コレステロール分画の変動は犬猫において肥満の早期診断マーカーとして有用であることが示唆された。 3.乳腺腫瘍を発症した犬で、血中アディポネクチン濃度が低下している個体が多くみられることが明らかとなった。加齢に伴いアディポネクチンが低下することも明らかとなった。人で閉経後の女性で肥満すると有意に乳癌の発生率が高まることが報告されており、犬でも加齢に伴い、肥満すると乳腺腫瘍の発生率が高まり、その診断マーカーとしてアディポネクチンが有用であると考えられた。 4.肥満した猫で、人と同様、インスリン抵抗性に関与する複数の遺伝子にSNPのある可能性が示唆された。これらの解析をさらに進めることにより、肥満の遺伝子診断が可能になると考えられた。
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