研究課題
Clostridium thermocellumをはじめとするセルロース分解性細菌は黄色色素を生産することが知られており、セルロース分解過程における機能を明らかにすることを目的としている。C.thermocellumをろ紙を炭素源として培養し、セルロース残渣および菌体より100%アセトンを用いて黄色色素を抽出した。黄色色素のHPLCによる分離条件を小スケールで検討した。順相条件ではIntensil Diolカラムを用い、移動相をヘキサン/エタノール/酢酸エチル(60/15/25)とした時、6本のピークを検出した。また、逆相条件では、カラムにInertsil ODS-4、移動相を0.1%ギ酸を含む50-95%メタノールグラジエントを用いることにより5本のピークを確認することが出来た。両条件とも再現性よく分離することが出来、スケールアップすることにより構造解析に用いることが可能であると判断した。ろ紙を炭素源としたC.thermocellumの培養上清よりセルロソーム(セルラーゼ複合体)を調製する方法を確立した。天然のセルロソームは黄色色素と接触しており、黄色色素の機能を評価するのには適当でない可能性があり、大腸菌等の異宿主で発現することが望ましい。C.thermocellumのコヘシンと糖質結合モジュールを持つミニ骨格タンパク質を大腸菌を宿主として発現させた。一方、セルラーゼとしてC.thermocellumのエンドグルカナーゼCelAを発現させた。ミニ骨格タンパク質とCelAの複合体は微結晶セルロースであるアビセルに活性を示し、黄色色素の機能の解析に用いることが出来ることを示した。ミニ骨格タンパク質を作成する過程でコヘシンとドックリンの相互作用を解析した。以上の結果は、ほぼ実験計画通りであり、次年度の研究の重要な基礎データである。
すべて 2009
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FEMS Microbiol., Lett. 300
ページ: 249-255