研究課題
・各種植物体からの細菌の探索・収集と保存国内各地の各種作物の根圏、イネおよびコムギ葉面、およびナス科植物内から、選択培地および免疫学的検出法を併用して蛍光性シュードモナスほか多数の細菌の分離を行なった。収集菌株は、遺伝資源として生物的防除素材の特性評価試験用として凍結保存した。・微生物農薬素材細菌の分類学的系統解析キングB培地により分離された各種植物根圏由来の蛍光性シュードモナスは、蛍光色(Blue,Blue green,Yellow green)により類別可能で、細菌種またはシデロフォア、抗菌物質等の産生性との関連が示唆された。イネおよびコムギ葉鞘からの細菌分離株はいずれも多様性が認められ、16SrDNA塩基配列解析の結果、前者ではSphingomonas、Bacillus、Staphylocotcus、属等が、後者ではMicrobacterium, Acidovorax StenotrophomonasおよびPseudomonas属菌がそれぞれ優先菌群であった。一方、トマト接木苗から分離された内生細菌は1科20属の存在が認められた。・抗菌物質産生性等有用特性の性状解析と生物的防除素材としての評価根圏由来の蛍光性シュードモナス属菌については、すでに特異PCRによりDAPG、pyrrolnitrinおよびpyoluteorin等の抗菌物質産生遺伝子の存在を明らかにした。今年度は、イネ葉鞘菌では、イネ白葉枯病菌に対して、トマト内生細菌については青枯病菌に対して、それぞれ抗菌活性を示す菌株の存在を見出した。さらにクオラムセンシングのシグナル物質であるアシル化ホモセリンラクトン(AHL)の産生性または分解性を有する菌株を明らかにし、また生育促進性細菌についてはIAA活性を有することを確認し、いずれも生物的防除素材としての有望性が期待された。
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