研究課題
本年度は以下の2つの課題について解析を行った。【課題1】種々の植物・生物種におけるCPD光回復酵素の各オルガネラへの移行の実態に関する解析本課題では、種々の植物(オオムギ、コムギ、トウモロコシ、アラビドプシス)や酵母、藍藻などの単細胞生物を材料に、CPD光回復酵素の各オルガネラへの移行の実態を、オルガネラ分画、生化学的手法により調査した。その結果、大変興味深いことに、イネ、トウモロコシにおいては全てのオルガネラでの局在が確認されたが、他のコムギ、オオムギ、アラビドプシスでは検出されなかった。すなわち、CPD光回復酵素の局在には植物種間差があることが分かり、オルガネラ局在の違いがUVB抵抗性に影響を及ぼしている可能性が示唆された。また、酵母ではミトコンドリアへの移行が確認された。【課題2】イネCPD光回復酵素の核、葉緑体、ミトコンドリアへの移行に関わるシグナル配列の同定、ならびにオルガネラ輸送のメカニズムに関する解析本年度の解析により、核、およびミトコンドリアへの移行に関わるシグナル配列は、核ではC末端付近の3アミノ酸、ミトコンドリアではC末端より内側の20アミノ酸領域を利用して移行していることが分かった。酵母においては、ミトコンドリアへの移行シグナルが報告されている。その結果と比較すると、イネにおいては、その配列は有しておらず、また酵母でのその配列はN末端付近にあるにも関わらず、イネではC末端側であることから、イネのミトコンドリアへの移行機構は、イネが独自に獲得した機構であることが推定された。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
Biologia Plantarum (in press)
DNA Repair (in press)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 73
ページ: 2107-2109
Biological Sciences in Space 23
ページ: 221-222