研究概要 |
マンザミンBの全合成: 光学活性クロム-サレン錯体を存在下、デヒドロピペリジン誘導体と、シロキシアミノジエンの不斉Diels-Alder反応を行い、光学活性ヒドロイソキノリン中間体の合成に成功した(70%, 97% ee)。更にシクロヘキセン上に新たな不斉中心を構築し、またRCMを用いる11員環形成に必要なブテニル側鎖を導入した。RCMを行ったところ、11員環閉環体を約20%の収率で得ることに成功したが二量体を同程度の収率で得た。そこで分離した二量体をROMに付し原料であるジエンへと戻し、再度RCMを繰り返したところ、回収原料を補正して約50%の収率で11員環誘導体を得ることに成功した。続いて13員環の合成をRCMにて検討したところ反応は速やかに進行したが選択的にE環化体を与えた。今後は合成ルートの見直しにより全合成を達成する予定である。 コプシアルカロイド合成に関する研究:ランドリンA全合成に向け、多置換置換合成を検討した。ヨウ素を用いてアルコール部に二重結合を有するマロン酸エステル誘導体の閉環反応を検討し、高いジアステレオ選択性(10:1以上)にてシクロプロパン環を得ることに成功した。得られたシクロプロパン誘導体を用いてシクロプロパン融合型インドリン中間体に誘導した。 シゾコムニンの全合成に関する合成:アレルギー性気管支真菌症の患者から分離されたスエヒロタケの培養液から単離されたシゾコムニンは強い細胞毒性を有しシンノリン骨格を有していると報告されていた。独自に開発した合成経路にてシゾコムニンの塩素置換体を合成した。さらに塩素原子を水酸基に変換し提唱されていたシゾコムニンの全合成を完了したが、スペクトルデータは報告されたものと一致せず、推定構造は誤りであることが判明した。スペクトルデータを再度検討し、新たな骨格を見いだし、全合成により構造証明を完了した。
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