研究課題
我々はカチオン性高分子であるpolyethylenimine(PEI)を用いて作製した、カチオン性のpDNA/PEI複合体をアニオン性のポリペプチドであるγ-polyglutamic acid(γ-PGA)を用いて静電的に自己組織化することで、pDNA/PEI複合体の毒性を大きく改善しながら、高い遺伝子発現効果を示す新規遺伝子ベクター(pDNA/PEI/γ-PGA複合体)を開発した。さらに、様々なアニオン性高分子を検討した結果、γ-PGA以外にも、アニオン性の多糖であるchondroitin sulfate(CS)などの有用なアニオン性分子を見出している。また、pDNA/PEI複合体の他にも、poly-L-lysineやpoly-L-arginineなどのカチオン性高分子または数種のカチオン性リポソームを用いて作製したカチオン性の遺伝子ベクターにγ-PGAを添加することで、遺伝子導入効果を低下することなく、安全性を大きく向上した新規遺伝子ベクターを開発した。さらに、カチオン性高分子とカチオン性脂質からなるカチオン性の遺伝子ベクターにアニオン性脂質であるN-lauroylsarcosineを添加することによって、毒性を軽減し、かつ肺に選択的に高い遺伝子発現効果を示す新規遺伝子ベクターの開発に成功した。以上のように、我々は本年度の研究によって、安全性を劇的に向上しながら、高い遺伝子発現効果を示す新規遺伝子ベクターの構築に成功した。これらの結果は、遺伝子ベクターの臨床応用に有益な情報であると考えられる。
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