研究概要 |
本研究では(1)外部環境変化によって構造及び性質の変化を示す材料表面を設計し,信号刺激(温度,pH等)に応答して,特性・機能を必要な時に必要なだけ引き出せる表面を有する革新的分離システムの開発。(2)実際のバイオセパレーションへ適用可能な環境応答性ナノ基材の機能・高効率製造基盤技術の確立。生体機能解析のためのバイオセパレーションシステムへの実用化を目的としている。 本年度は以下の(1)~(4)について検討した。 (1)機能性高分子の開発と高機能表面の設計:分子認識能の向上を目的として,フェニルアラニン及びトリプトファンを基盤としたアミノ酸誘導体を温度応答性高分子poly-N-isopropylacrylamide(PNIPAAm)にランダム共重合させた機能性高分子を開発し,固定相表面へ修飾し,HPLC用分離担体を作成した。 (2)高密度表面修飾法の検討:固体表面に機能性高分子を修飾する方法としてコーティングによる方法を検討した。層厚みを変えることが可能であり,高機能表面と物質との相互作用もコントロールできることが分かった。 (3)抗体精製用アフィニティークロマトグラフィー:PNIPAAmの体積変化を利用して,タンパクを回収し,抗体精製を可能にする新しいアフィニティークロマトグラフィー法を試みた。リガンドとしてリゾチームを修飾した温度応答性アフィニティーカラムを作成し,抗リゾチーム抗体による親和性評価を行ったところ,相互作用が強く回収できたタンパクは60-70%程度であった。これまでのシリカゲル担体ではリガンドの結合条件に適合しない可能性があり,ポリマー基材についても検討を行なった。 (4)on-site計測用超高速分離システムの構築:粒径の小さい充填剤(2μm以下)を用いた高性能カラムを作製し超高速分離システムへ応用した。
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