研究課題/領域番号 |
21390013
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
小林 祐次 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (20127228)
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研究分担者 |
西村 光広 大阪薬科大学, 薬学部, 博士研究員 (40510285)
山田 剛司 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (20278592)
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キーワード | 終末糖化産物 / 糖尿病合併症 / 分子間相互作用 / 超遠心分析用蛍光測定装置 / 超遠心分析 / 等温滴定型熱量計 / NMR / 合理的創薬 |
研究概要 |
最終糖化産物AGEがその受容体RAGEに結合することで種々の細胞現象が誘導されることが見出され、AGE-RAGE相互作用によるシグナル伝達を阻害する物質が糖尿病血管合併症の予防・治療薬に成り得ると考え、その阻害剤の探索を行ってきた。我々はまずRAGEの構造をNMRにより決定し、この構造情報を用いてコンピュータ上でのバーチャルスクリーニングにより候補物質を抽出し、ELISA実験を行い、糖化アルブミンと競合的に結合するものを見出した。それらはAGEがRAGEに結合することにより惹き起こされる細胞内シグナルの一つである転写因子NF-κBの活性化を阻害する活性を細胞レベルで示した。これら候補物質の誘導体の化学合成を行い、合成した誘導体についてそれぞれBiacore測定や,NF-□Bの活性化阻害を指標としたレポーターアッセイを行うとともに、合成過程にフィードバックすることにより活性の高いものを見出す努力を重ねた。活性の高いものについてレセプターとの結合様式を詳細に検討するため結合サイトの同定を遺伝子操作による変異体の合成により行った。次にtrNOE、STD法、water LOGSY法など分子間相互作用に直接寄与する1Hを低分子側であるリガンド(薬剤)で選択的に検出するNMR手法を種々検討した。またRAGEの結晶化を試み、結晶に候補化合物をソーキングして、複合体の解析を試みた。特に予算の都合で購入できなかった極低濃度での測定が可能な蛍光による超遠心分析は実現しなかったが、変わりに購入できた等温滴定型熱量計による相互作用解析を開始した。しかし全ての候補化合物の溶解性が低くNMRの場合と同様実験条件の探索を行なっている段階である。試料は異なるが、本テーマと同様の研究目的を持って行なっている核内レセプターPPARγについて、ITCを用いたリガンドとの相互作用について熱力学的解析に成功している。この経験を用いて、AGE-RAGE系について実験計画を策定している。
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