研究課題
これまでに、リゾホスファチジン酸(LPA)がLPA_3を介して血圧・体温調節を行っていることを明らかにしてきた。本年度は、LPA3を介した迷走神経興奮作用について、迷走神経の主な機能の1つである反射反応に着目し解析を行った。マウスにおける自由行動下での血圧、心拍数測定系を用いて評価した結果、LPA_3 agonistを外来性に投与することで圧反射反応が強く誘導されることを見出した。また、LPA_3 antagonist及びLPA_3 KOマウスを用いることで、内在性のLPA_3 signalが圧反射能を亢進させている可能性が示唆された。LPA_3 KOマウスは自由行動下で血圧測定を行うと、コントロールと比較して1割程高い血圧を示すことから、LPA_3の迷走神経興奮作用が個体の血圧維持に寄与すると考えられる。また、リゾホスファチジルセリン(LysoPS)については、これまでにLysoPS受容体P2Y10およびGPR174が活性化リンパ球に高発現することを見出していた。本年度は、マウス脾細胞をリンパ球のマイトジェンであるコンカナバリンA(Con A)で活性化すると、凝集反応が引き起こされるのに対し、LysoPS処理によりその凝集反応が抑制されることを見出した。さらに、P2Y10 KOマウス由来の脾細胞を用いるとLysoPSによる凝集反応抑制が消失するのに対し、GPR174 KOマウス由来の細胞では効果が維持されたことから、LysoPSがP2Y10を介して細胞接着抑制を示すことが明らかとなった。この細胞接着にはリンパ球の主要なインテグリンであるLFA-1を介して引き起こされることから、LysoPSはLFA-1を介した接着反応を制御していることが示唆された。
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