研究課題/領域番号 |
21390022
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 周司 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60177516)
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研究分担者 |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (30303845)
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 助教 (50402798)
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キーワード | TRPチャネル / 中枢神経系 / グリア細胞 / カルシウム / 神経変性疾患 / アストロサイト / ミクログリア / オリゴデンドロサイト |
研究概要 |
グリア細胞の機能変調が中枢神経疾患の発症・増悪過程に及ぼす影響について明らかにすべく、グリア細胞に発現するトリップ(TRP)チャネルに焦点を当て、以下の結果を得た。1、thrombin刺激により活性化された培養アストロサイトではTRPC3活性がCa2+シグナリングを介して自己の発現量を調節しながらアストロサイト活性化マーカーS100B発現量増大、異常増殖に強く関与していることが示された。そこでマウス脳内出血モデルを作製しTRPC3阻害薬の影響について検討したところ、神経学的症状の増悪、運動協調性の低下等がTRPC3阻害薬の投与により有意に抑制される結果を得た。詳細な作用やメカニズムについては引き続き検討中である。2、アストロサイトにはTRPC3以外のTRPC subfamilyも一部発現しており、またその中でもTRPC1の発現量が最も高かった。そこでTRPC1をsiRNA適用により特異的にノックダウンすると、thrombin誘発Ca2+オシレーション、形態変化および増殖が顕著に抑制された己免疫沈降実験より、培養アストロサイトにおいてTRPC1タンパクがTRPC3タンパクと内因的に相互作用していることも明らかになったことから、thrombin適用により発現増大したTRPC3はTRPC1とヘテロマルチマーを形成してthrombin応答を媒介していると推察される。3、野生型およびTRPM2ノックアウトマウスを用いて、一過性中大脳動脈閉塞の影響について検討したところ、経時的な生存率の低下、神経学的症状の増悪、運動協調性の低下および梗塞巣の形成がTRPM2欠損により顕著に抑制されることが明らかになった。ミクログリア活性化抑制薬であるミノサイクリンを用いた検討を踏まえ、現在ミクログリアにおけるTRPM2の役割に焦点をあて、骨髄キメラマウスを用いて検討を行っている。
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