研究課題/領域番号 |
21390025
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
北川 裕之 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (40221915)
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研究分担者 |
三上 雅久 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (20330425)
灘中 里美 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (60378578)
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キーワード | プロテオグリカン / 糖転移酵素 / 動脈硬化症 / コンドロイチン硫酸 / 硫酸基転移酵素 / 酵素複合体 / グリコサミノグリカン / 軟骨形成不全 |
研究概要 |
我々は世界に先駆けて、ヘパラン硫酸(HS)やコンドロイチン硫酸(CS)などの硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)鎖の生合成に関与する10種類以上の酵素遺伝子のクローニングを行ってきた。本研究では、これら合成酵素の活性や発現を改変することにより、硫酸化GAG鎖の発現制御メカニズムや機能を明らかにし、その成果に基づいた病態の解明と治療のための基盤となる研究を行う。本年は、特に以下のテーマに関する結果を得た。 (1) 軟骨形成不全症や動脈硬化症の解明を目指したコンドロチン硫酸鎖の生合成機構の解析 最近我々は、マウスのL細胞の変異株でコンドロイチン硫酸鎖合成が不全である変異株(sog9)が、コンドロイチン硫酸鎖の生合成に関与するコンドロイチン4-硫酸基転移酵素(C4ST-1)を欠損していることを同定した。このC4ST-1を欠損したマウスは、軟骨形成不全により生後すぐに致死となり、ヘテロ接合体マウスも変形性関節症を発症することが報告されている。現在までに我々は、C4ST-1の発現量によりコンドロイチン硫酸鎖の総量ばかりでなく鎖長も制御されることを明らかにしているが、その制御機構は不明であった。そこで本年度は、C4ST-1がCSの合成に関わる酵素と共同でCSの鎖長を制御する可能性を検討した。その結果、C4ST-1はコンドロイチンGalNAc転移酵素-2(ChGn-2)と共同しCSの鎖長を調節することが判明した。また、LDL受容体を欠損したマウスに高脂肪食負荷を行い、動脈硬化の進展に伴うC4ST-1およびChGn-2の発現変化とCSの鎖長の変化を調べたところ、動脈硬化部位においてC4ST-1およびChGn-2の発現が亢進し、糖鎖長が伸張し、脂質の貯留をきたしていることを明らかにした。
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