研究課題/領域番号 |
21390038
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
青木 康展 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 副センター長 (20159297)
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研究分担者 |
能美 健彦 国立医薬品食品衛生研究所, 変異遺伝部, 部長 (30150890)
松本 理 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (60132867)
中島 大介 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (10281411)
影山 志保 郡山女子大学, 家政学部, 講師 (00514316)
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キーワード | 有害大気汚染物質 / 体内変異原性 / 肺 / 精巣 / 多環芳香族炭化水素 |
研究概要 |
都市大気中の浮遊粒子状物質の変異原性を評価するために、都市大気から採取した浮遊粉じんをジクロロメタンでソックスレー抽出した抽出物(Tar)について以下の検討を行った。i)in vivo変異原性を変異原物質検出用マウスgpt deltaマウスを用いて評価した。前年に実施したつくば市内のサンプルに引き続き、東京都心で夏季に採取されたTarをgpt deltaマウスの気管内に投与し、体内で誘導される突然変異頻度を調べた。0.6mgTarを投与したところ、陰性対象からin vivo突然変異頻度は2×10^<-5>上昇し、これは、つくば市内の試料(0.76×10^<-5>/mg抽出物重量)と同レベルの値であった。これら都市大気から得られたTarが肺で示すin vivo変異原性は、抽出物中の既知の高い変異原性を示す変異原物質であるベンゾ[a]ピレン(BaP)の値(1.7×10^<-5>/mg)と比べても遜色なく高かった。Tar.中のBaP含量は0.002%程度であり、都市大気中にはBaP以外にも高いin vivo変異原性を示す化学物質が存在すること示唆された。ii)大気浮遊粉じん抽出物から変異原性の高い分画を同定した。シリカゲルカラムカートリッジを用いて極性(ヘキサン、ジクロロメタン/ヘキサン混液、酢酸エチル)ごとに分画した。これらの変異原性をTA98株及びTA100株を用いたエームス試験に供したところ、既知のニトロアレーン、多環芳香族及びその酸化体よりも極性の強い画分(主として酢酸エチル分画)から主な活性が認められた。以上の知見から、大気浮遊粉じんの変異原性には未同定の変異原物質の寄与が大きいことが示唆された。
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