研究課題/領域番号 |
21390040
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
千葉 寛 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (40159033)
|
研究分担者 |
小林 カオル 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (30255864)
香月 康宏 鳥取大学, 医学研究科, 助教 (90403401)
降幡 知已 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (80401008)
|
キーワード | 薬学 / 応用動物 |
研究概要 |
本研究の目的は、内在性Cyp3aノックアウトマウスにヒト人工染色体ベクター(HAC)を用いてヒトCYP3A遺伝子クラスターを導入発現させたCYP3A-HACマウスに、MDR1やPXRなどのヒト遺伝子を導入してヒト型モデルマウスを作成し、これらのマウスがヒトにおける薬物の脳内移行、P-糖タンパクとCYP3Aの共働による薬物吸収の腸管障壁、P-糖タンパクとCYP3Aを介した薬物相互作用などの検討に有用であるか否かを検証することである。昨年度は、pregnenolone 16-α carbonitoril(PCN)の投与により、ヒトに近いCYP3Aタンパクの発現と活性を示すことを明らかにした。しかし、本年度の検討によりCYP3Aの基質とされるいくつかの化合物の酸化的代謝活性(ミダゾラムのα位水酸化活性、ニフェジピンの酸化活性)はノックアウトマウスであっても野生型マウスの30-100%の値を示すことが明らかとなった。さらに、ヒトでmechanism-based inhibitionを起こすとされる化合物(エリスロマイシン)の連続投与によりCYP3A-HACマウスの小腸及び肝臓におけるCYP3A活性は有意な低下を示さないことも示された。これらの原因としてCyp3aのノックアウトあるいはPCN投与によりCYP2C55、CYP2C29などのCYP2C分子種が著しく増加すること、さらにマウス組織におけるHACベクターの安定性が組織ごとに異なることなどが原因の一つである可能性が明らかとなった。そのため、この問題の解決法の一つとして、HACベクターよりもマウス組織での安定性が優れている新規人工染色体ベクターの作成を試みた。現在、この新規人工染色体ベクターの作成に成功し、CYP3Aクラスター及びMDR1遺伝子の搭載が進行中である。来年度から、この新規人工染色体に搭載した遺伝子をマウスES細胞に導入し、子孫伝達可能なヒト化CYP3A/MDR1マウスを作製する予定である。
|