ヒトCYP3A遺伝子クラスターを導入したCYP3A-HACマウス(CYP3A-HAC)のPXRをヒト化したマウス(hPXR/CYP3A-HAC)を作成し、PXRリガンド応答性を検討した。その結果hPXR/CYP3A-HAC肝におけるCYP3A4 mRNAはヒトPXRリガンドであるRIFにより増加したが、マウスPXRのリガンドであるPCNでは増加しなかった。さらに、hPXR/CYP3A-HAC肝ミクロソームにおけるトリアゾラム代謝活性(TZM)はRIFにより大きく上昇したが、PCNでは変化しなかった。一方、小腸におけるPXR応答性については、PXRをヒト化していないCYP3A-HACマウスにおける小腸CYP3A4 mRNA発現量がPCNにより上昇したのに対し、hPXR/CYP3A-HACでは変化しなかった。これらの結果より、hPXR/CYP3A-HACにおけるPXR応答性はヒト化していることが示された。 一方、CYP3A-HACマウスでは小腸におけるCYP3A4発現量がヒトと同程度であるのに対し、肝臓における発現量はヒトよりも低いため、肝CYP3A4発現量を人に近づけるためのアプローチとして、高コレステロール食(HCD)の影響を検討した。その結果HCDによりCYP3A-HACマウスの肝におけるCYP3A4mRNA発現量は12倍に増加し、TZMも4倍に増加したが、小腸におけるCYP3A4mRNA発現量は変化しなかった。これらの結果よりHCDはCYP3A-HACマウスのCYP3A発現量をヒトと同程度にするために有用である可能性が示された。
|