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2009 年度 実績報告書

生理学的モデルに基づいた分子標的薬による副作用発現プロファイルの予測

研究課題

研究課題/領域番号 21390041
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 洋史  東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)

キーワード癌 / 薬剤反応性 / キナーゼ / 分子標的薬 / オフ・ターゲット / 薬理学 / 薬物体内動態 / 毒性
研究概要

チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は現在ではがん薬物療法の中心薬剤であるが、従来の化学療法剤と異なり、薬効の延長線上では捉えきれない副作用発現が問題となっでおり、副作用発現機構の解明が急務である。初年度である平成21年度は、非小細胞肺癌などの治療に用いられるEGFR-TKIとしてgefitinibおよびerlotinibの比較、および腎細胞癌などの治療に用いられるmulti-TKIとしてsunitinibおよびsorafenibの比較を行った。各TKIの平均血漿中非結合型薬物濃度に基づいて、317種のキナーゼに対する結合率を算出し、各TKIの副作用頻度情報との相関解析を行った。結果、gefitinibと比較してerlotinibで高頻度に観察される皮膚障害に関し、リンパ球の活性を抑制的に制御するLOKおよびSLKが、またsorafenibと比較してsunitinibで高頻度に観察される肝障害に関しては、グリコーゲン代謝を制御するPHKG2が、それぞれ副作用発現の起因になる候補標的キナーゼとして挙げられた。これらの各キナーゼのヒトおよびマウスの遺伝子を単離、発現系を作製し、組換タンパク質を単離精製した。得られたタンパク質を用い、各TKIによる阻害定数を計測したところ、報告されている結合定数とほぼ一致し、また大きな種差は存在しなかった。さらに、培養細胞を用いた検討から、erlotinibは濃度依存的にリンパ球の遊走性およびIL-2分泌能を増大させることが明らかとなり、LOKあるいはSLKの阻害を介してリンパ球の活性化を生じていると考えられた。次年度以降は、皮膚刺激動物モデルを用いて検討を加える。また、マウスin vivoの検討から、sunitinibは肝臓におけるグリコーゲン代謝を顕著に抑制することが明らかとなった。次年度以降は、in vivoノックダウン法を用いて、PHKG2の阻害が肝障害発症に繋がるメカニズムに関して検討を加える。また、TKIを服用している患者の血漿中薬物濃度測定用の検体の採取・集積を開始した。次年度以降も検体収集を継続して行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] チロシンキナーゼ阻害薬の副作用発現における、オフターゲット阻害の重要性2010

    • 著者名/発表者名
      山本奈央子,本間雅,鈴木洋史
    • 学会等名
      日本薬学会第130年会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20100300
  • [学会発表] キナーゼ阻害薬による副作用発現メカニズムの解析2009

    • 著者名/発表者名
      本間雅,山本奈央子,雨宮貴洋,鈴木洋史
    • 学会等名
      第3回次世代を担う若手医療薬科学シンポジウム
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20091200
  • [学会発表] EGFRキナーゼ阻害薬による皮膚毒性発現メカニズムの解析2009

    • 著者名/発表者名
      山本奈央子,本間雅,鈴木洋史
    • 学会等名
      日本薬物動態学会第24回年会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20091100

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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