研究課題/領域番号 |
21390046
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (50263306)
|
研究分担者 |
角田 慎一 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部・バイオ創薬プロジェクト, プロジェクトリーダー (90357533)
|
キーワード | 粘膜免疫 / 腫瘍壊死因子 / DDS / 感染症 / ワクチン / サイトカイン / アジュバント / 安全性 |
研究概要 |
申請者らは、発がんや抗ウイルス活性といった防御免疫系の制御を担うサイトカイン、TNFを鼻粘膜ワクチンアジュバントとして適用すると、神経毒性や炎症反応などの重篤な副作用を呈することなく、効率よく鼻粘膜局所、遠隔の粘膜面および全身免疫を誘導し得ることを見出した。即ちTNFは、従来までの毒素系アジュバントで顕著に観られるような重篤な副作用を伴わない、優れたアジュバントになり得るものと考えられる。一方で、このTNFは複数のレセプターサブタイプを介して、多様な生物活性を発揮してしまうため、上述した有害事象以外にも、目的とするワクチン活性増強作用以外の他の作用に起因した副作用を招いてしまうことが懸念される。そこで昨年度は、堤・角田が協力し、独自の生物学的DDSを有効活用し、『生物活性やレセプターサブタイプ指向性に優れた機能性人工TNF』を創出し、鼻粘膜免疫用アジュバントとしての機能(有効性と安全性)を解析し、最適な機能性TNFアジュバントを選択した。しかし、粘膜面に機能性人工TNFをアジュバントとして適用した場合、粘膜分泌液によって速やかに分解されてしまうだけでなく、粘膜上皮細胞層が粘膜面から粘膜組織内への移行バリアとなることが予想される。この点で我々は既に、各種分解酵素に対する抵抗性を高め、細胞間障壁等のバリアを透過し、目的細胞に効率よく送達できる『部位特異的高分子バイオコンジュゲーション』を確立するなど、上記問題を克服できる独自の基盤技術を確立している。そこで、本年度はこれら蛋白質医薬固有の問題点を解決するため、本技術を適用した。その結果、lowering pI効果を活用することで、血中滞留性やプロテアーゼ抵抗性を向上させ得ることが明らかとなった。次年度以降は、さらにPEGylationなどによる安定性のさらなる改善やシャッフリングライブラリによる高機能化などを図る予定である。
|