研究課題/領域番号 |
21390047
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大戸 茂弘 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (00223884)
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研究分担者 |
小柳 悟 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60330932)
松永 直哉 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (10432915)
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キーワード | 体内時計 / がん / 分化 / アポトーシス / 創薬 |
研究概要 |
本研究では、肝初代培養細胞を用い、発癌過程における時計関連遺伝子の役割について検討した。自由摂食摂水、明暗周期(明期;7:00-19:00)条件下で飼育した野生型マウマ(Wild type)おわびClock遺伝子変異マウス(Clk/Clk)から肝細胞を採取した。細胞採取4時間後に発ガン物質ジエチルニトロソアミン(EDN)を含む培地に交換し24時間培養後、アポトーシス(TUNEL染色、Caspase-3/7活性)を測定した。DEN代謝活性化酵素、DNA修復関連因子、アポトーシス関連因子および脱分化関連因子のmRNA発現量をRT-PCR法で測定した。また、細胞採取4時間後にDENを含む培地に交換し24時間培養後、生細胞数を測定した。DEN曝露24時間後のTUNEL染色細胞数およびCaspase-3/7活性は、Wild typeマウスと比較しDEN曝露群において高値を示した。一方、Clk/Clkマウスでは、コントロール群およびDEN曝露群間に有意な差異は認められなかった。また、細胞採取4時間後のDEN代謝酵素およびアポトーシス促進因子のmRNA発現量は、Wild typeマウスと比較してClk/Clkマウスで有意に低下していた。DEN曝露24時間後の生細胞数は、Wild typeマウスと比較しDEN曝露群において濃度依存的に減少した。しかし、Clk/Clkマウスでは、コントロール群およびDEN曝露群間に有意な差異は認められなかった。以上より、WiLd typeマウスと比較し、Clk/Clkマウスの初代培養肝細胞では、DENの代謝活性化能およびアポトーシス関連因子の発現の低下により、DENによる細胞毒性に対する感受性が低下していることが示された。現在、脱分化関連因子の分子時計による制御機構を明らかにしつつあり、その役割を明らかにする予定である。
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