研究概要 |
腎機能障害の進展阻止並びに尿毒症治療薬の開発に繋がるインドキシル硫酸(IS)産生阻害物質を探索することを目的とし、ラット肝S9画分を用いたインビトロスクリーニング評価系を確立し、薬剤性並びに虚血性急性腎障害ラットにIS肝産生阻害物質を経口投与した場合の腎障害に及ぼす影響を精査した。新たに確立したIS産生阻害物質スクリーニング評価系を用いて調べた結果、硫酸基転移酵素に阻害作用を持つ薬物がIS産生阻害を示した。一方、Cytochrome P450 (CYP) 2A6及びCYP2E1の阻害物質ではIS産生阻害が認められなかった。Cisplatin誘発急性腎障害ラットにIS肝産生阻害化合物を経口投与した結果、血清、腎臓及び肝臓中IS濃度が減少し、SCr、BUN、腎尿細管組織学的検査及び腎Kidney injury molecule (Kim)-1タンパク質発現量において、腎障害の軽減を認めた。一方、2,6-Dichloro-4-nitraphenal (DCNP)経口投与においては、血清、腎臓及び肝臓中IS濃度は減少するが、腎障害の更なる増悪を認めた。虚血性急性腎障害ラットを作成し、IS産生阻害薬物の経口投与による腎機能変化を比較精査した結果、一部のポリフェノール系薬物により血清中IS蓄積が低減すること、それに伴い腎障害が一部改善されることを見出した。IS産生阻害薬の投与により、急性腎障害の発現・進展が抑制されることを検証し、新たな腎障害並びに尿毒症治療法の新規創薬ストラテジーとして有用である可能性が示唆された。
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