研究概要 |
本研究ではクラスリンアダプタータンパク質であるGGA1,2,3の機能についてタンパク質の品質管理という観点から研究を行っており、そのための実験系の開発やアクセサリータンパク質群の機能解析を進めている。本年度は以下の成果が得られた。 1. ほ乳類細胞におけるRNAiノックダウン法を用いて様々な細胞生物学的解析を行った。その結果、GGA3がカーゴタンパク質であるM6PRのターンオーバーに関わること、直接の結合が報告されていないTGN46の細胞内輸送に関わること、GGA3の機能低下により蓄積する細胞内凝集物は小胞構造からなること等が判明した。 2. GGAアクセサリタンパク質であるp56のクローニングを行い性状解析を行った結果、p56とGGAとの直接的結合が確認され、またp56のノックダウンもまたTGN46の細胞内輸送に影響を与える事が示唆された。この事から、GGAおよびp56が共同してTGNに局在する膜タンパク質の局在化に関わる事が示唆された。さらにp56のTGN膜への結合は主にGGA1に依存することが分かり、GGA1,2,3間で個別機能の存在が示された。 3. さらに、p56の機能を明らかにする目的で同タンパク質に対する抗体を作製し、マウスにおける組織分布を調べた。その結果、p56は神経系での発現が顕著であることが分かり、マウス個体においては、神経機能と深く関わる可能性が示唆された。 4. 新たな実験系の開発を目的として、ショウジョウバエ由来のS2細胞におけるGGAの特性を解析し、ほ乳類GGAsと同様の挙動、機能を示すことを明らかにした。このことは同細胞系がGGAや関連分子の機能解明に有用であることを示す。 上記1および3の成果については学会で発表した。4の成果は学会および論文として発表した。
|