1. S1P2KOマウスでは、エバンスブルー漏出法により、VEGFによる皮下組織血管透過性が変化していた。リポポリサッカライド(LPS)吸入誘発刺激において、肺水腫が増悪していた。同様に、血小板活性化因子投与による血管透過性の変化も観察された。 2. S1P2KOマウス(ApoE遺伝子欠損:高コレステロール食を負荷)において、大動脈の粥状動脈硬化巣面積減少、マクロファージ浸潤低下(Mac3免疫染色)および内膜への平滑筋細胞の遊走促進(α平滑筋アクチン染色)が観察された。マクロファージの遺伝子発現において、スキャベンジャー受容体mRNAの低下、ABCA1トランスポーター発現増加が観察された。酸化LDL取り込みが低下し、HDL存在下でのコレステロール汲みだしが亢進していた。 3. S1P2受容体KOマウスでは、虚血肢の血流回復が亢進していることを見出した。抗CD31免疫染色による微小血管数の増加と、血管壁α平滑筋型アクチン免疫染色の増加、すなわち血管成熟促進が見られた。 4. PI3K-C2αの発生期血管新生における役割の解析:1)妊娠の各時期において、内皮特異的(EC)-KO-/-マウスと+/+マウスの大動脈、大静脈などの大血管と、脳、肺、腎などの微小血管の免疫染色により、(EC)-KO-マウスでは微小血管の分岐と成熟の著しい異常が観察された。同様に、周皮細胞集積が低下していた。これらの変化は、全身型KO-マウスと同様であり、内皮細胞のPI3K-C2αが血管新生に必須であることが示された。全身型ヘテロKO-マウスでは、皮下に移植したマトリゲル内の新生血管においても、数と成熟の低下が観察された。
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