AQP4M1アイソフォーム特異的ノックアウトマウス、AQP4完全ノックアウトマウス両系統とも9代の戻し交配を終了した。各系統についてホモ個体を作製し、8週齢のマウス小脳におけるAQP4タンパク質の発現をウェスタンブロット法で野生型マウスと比較したところ、AQP4完全ノックアウトマウスではM1及びM23アイソフォームに相当するバンドが消失している事が確認できた。これに対し、AQP4M1アイソフォーム特異的ノックアウトマウスの小脳ではM23アイソフォームのバンドのみが検出され、M1アイソフォームが特異的にノックアウトされていた。しかしながらAQP4タンパク質の総量は野生型マウスの40%程度まで減少していた。この結果から、ゲノムの遺伝子操作に起因するmRNAの発現レベルの低下の可能性、あるいはM1アイソフォームの消失がAQP4タンパク質の安定性に影響を及ぼす可能性等が示唆される。現在この現象の分子メカニズムについて解析を行っている。また、AQP4M1アイソフォーム特異的ノックアウトマウスの小脳の凍結割断電子顕微鏡法による観察の結果、野生型と比較して遥かに巨大なアレイ構造を形成している事も明らかとなった。これら2種類のノックアウトマウスは、1年以上の長期にわたって飼育しても肉眼的には野生型マウスとの差異は認められないが、理研BRCとの共同研究により網羅的表現型解析を開始している。
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