研究課題/領域番号 |
21390065
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鯉淵 典之 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80234681)
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研究分担者 |
下川 哲昭 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90235680)
岩崎 俊晴 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80375576)
高鶴 裕介 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30446265)
竹下 章 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (20322646)
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キーワード | ホルモン / 核内受容体 / 転写因子 / 脳発達 / 環境化学物質 |
研究概要 |
甲状腺ホルモンを始めとする脂溶性ホルモンは核内受容体(NR)を介し標的遺伝子発現を調節する。また,環境化学物質の中にもNRに作用するものがある。発達期の中枢神経系では特定の臨界期にホルモン感受性が上昇し脳発達に重要な機能をはたす。作用機構は明らかではないが,NRや転写共役因子の相互作用によりホルモン感受性が調節されていることが我々の先行研究からわかってきている。そこで本研究では中枢神経系発達におけるリガンド-NR-転写共役因子ネットワークによる調節機構を動物実験,細胞生理学的実験,in vitro実験により統合的に解析する。 本年度は以下のような結果を得た。 課題1 遺伝子変異動物を用いて受容体・共役因子機能変化に伴う行動や遺伝子発現変化を解析:本年度もrdwラットを用いて多動発現の機序を調べたところ,脳内チュブリン発現が低下し,ドーパミンの黒漆から線条体までの輸送が阻害されている事が明らかとなった。 課題2 培養神経細胞における受容体・転写共役因子相互作用による細胞機能変化の解析:小脳プルキンエ細胞初代培養系に続き,顆粒細胞の集積培養系や,小脳アストロサイトの培養系を確立し、甲状腺ホルモンにより神経線維の伸長が変化したり,アクチン重合が変化する事を明らかにした。また環境化学物質やリポ多糖によりこれらが変化することも明らかになった。 課題3 クロマチン免疫沈降法による核内受容体・転写共役因子のDNA結合の経時的解析:甲状腺ホルモンの新たな標的遺伝子として,Na-K ATPaseβを同定し、甲状腺ホルモン応答配列を含む領域を同定した。現在領域中の応答配列を確定する実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルを用いた解析については,新たな遺伝しか異変動物も導入し,また,行動解析も順調に進んでいる。細胞培養系もラットからマウスへと移行が順調に進んでおり,当初の目的の達成及び新たな研究計画の策定も視野に入れる事が可能である。ChlPアッセイについては多少遅れており,平成24年度中の達成を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
核内受容体を介する脳発達調節に関し,神経機能発達をより詳細に解析する事を目指している。核内受容体は転写調節因子であり,従来は標的遺伝子のmRNAレベルでの発現調節に解析が留まっていたが、今後はタンパクレベルでの発現の解析、およびそれを受けた機能的な変化を中心に解析を行っていきたい。電気生理学的解析は設備の導入がほぼ決まっているが、更に2光子共焦点顕微鏡の導入を目指しているが、資金的に苦しく,方向を模索中である。
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