研究課題
約24時間周期の概日リズム(circadian rhythm)は、24時間で自転する地球環境に適応すべく生命が獲得した生理現象と考えられ、バクテリアからヒトに至るまでほぼすべての生物にそなわる基本的生命現象である。生命の諸現象は、このリズムを発振する生物時計(biological clock)の支配下にあって、互いに一定の時間関係を保っている。本研究は、特に光、食事やストレス等の環境との関連に焦点をあてて、分子から細胞、組織、そして個体レベルに至るまで、ほ乳類の概日リズムの機構を統合的に明らかにしようとするものである。概日リズムの分子機構を明らかにするために、E-boxに結合するコアの時計転写因子であるBMAL1に対する特異抗体を作成した。本抗体を用いて網羅的にE-box転写エレメントを同定するために、ヒト培養細胞を利用してChIP-Chip法を行って32個の候補遺伝子領域を既に同定した。本候補の中には、Per1, Per2をはじめ既に報告されている時計遺伝子群が含まれているため、抗体の特異性及び本法の妥当性が証明された。さらに、次世代シーケンサーを用いたChIP-seq法を用いて同様の網羅的解析を行い、2つの網羅的方法を組み合わせることにより、より確実な網羅的データベースを作製した。BMAL1の標的領域として150カ所以上を同定し、2つのChIP法で共通に高いレベルで標的対象とされたものは新規を含む8個の遺伝子であった。それらの共通認識配列は、これまでに知られたE-box以外にあらたにCCAATG配列を同定した。また、標的遺伝子のGene Ontology解析の結果、代謝に関連する遺伝子群が多数みられることがわかった。
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