研究課題
本研究ではPKCγの機能破綻による2つの疾患(1)小脳脊髄変性症、(2)パーキンソン病に焦点を当て、1)これら疾患発症におけるPKCγの役割、発症メカニズムを明らかにするとともに、2)(1)(2)疾患のモデルマウスを作製し、さらには治療薬の新しい標的を見出すことを目的として行った。本年度は、(1)SCA14モデルマウスとして、変異型PKCγをレンチウイルスを用いて、小脳に感染させたマウスを作製することを試みた。小脳失調症状、プルキンエ細胞脱落などの病理的所見は見られなかったが、プルキンエ細胞内およびその樹状突起内に凝集体を観察した。このような凝集体を電子顕微鏡で観察したところ、アミロイド繊維様の凝集を形成していることが明らかとなった。また、変異型PKCγを精製し、37度にて放置するとthiofiavin染色でも電子顕微鏡観察でも、アミロイド様線維を形成したことなどからも、SCA14の発症に、変異型PKCγのアミロイド形成が関与することが示された。さらに、in vitroで、PKCγの凝集体形成には、PKCγ分子内のC1domainとkinase domainの結合が、関与することを示した。これらの所見は、治療薬の標的を見出す観点において非常に重要と考えられた。(2)PKCγノックアウトマウスが、パーキンソン病モデルマウスとなりうることを報告した。また、PKCγの機能低下がパーキンソン病発症に関与するメカニズムを明らかにするために、リン酸化プロテオーム解析を行った。その結果、10種類のPKCγ基質蛋白質を同定し、そのリン酸化部位、ドパミン遊離に与える影響などを調べ、これらの蛋白質のリン酸化が、パーキンソン病治療薬の標的となる可能性を検討した。
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