研究概要 |
片肺全摘出モデルでの肺再生におけるVEGFR-1シグナリングの役割を解析した。 a) C57Bl/6 adult male mice =Wild type(7-8w, 20-25g)を用い、左肺全摘を施行。 術後1,2,3,5,7,14,21,28日目に犠牲死させ、残存右肺重量を測定すると、sham手術に比べ明らかな増加を認めた。特に、術後3日目以降で肺重量の急速な増加を認めた。b)左肺全摘出モデルにおいて抗VEGF抗体を投与した群と対象群で、術後7,14日目に残存右肺重量を比較すると、対象群に比べ抗VEGF抗体を投与群では有意な肺重量増加の抑制を認めた。c) VEGFを過剰発現させたtransgenic mice(ATg mice)を用いて左肺全摘モデルを作成し、術後経時的に犠牲死させ、残存右肺重量を測定。ATg miceでは対象群に比べ優位に肺重量の増加を認めた。d) VEGFR1チロシンキナーゼノックアウトマウス(TKKO)を用いて左肺全摘モデル作成し、術後経時的に犠牲死させ、残存右肺重量を測定。TKKO miceでは、Wild typeと比較して14日以降で肺重量の抑制を認めた。e)左肺全摘出後14日目の残存肺組織中のVEGF 受容体の発現について検討した。VEGFR1のmRNAの発現は, VEGFR2(P=0.001) 及びVEGFR3(P=0.002) と比較し有意に増加した。f) 放射線照射後にgreen fluorescent protein (GFP)過剰発現マウスの骨髄細胞を移植し、約8週後に左肺全摘を施行。経時的に犠牲死させ、蛍光免疫染色を用い残存肺のGFP陽性細胞の有無を検討したところ、GFP陽性のI型及びII型肺胞上皮細胞の存在を認めた. 以上のように、肺再生におけるVEGFR-1シグナリングが重要な役割を発揮していることが判明した。
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