研究課題/領域番号 |
21390073
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
安西 尚彦 杏林大学, 医学部, 准教授 (70276054)
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研究分担者 |
福冨 俊之 杏林大学, 医学部, 助教 (30439187)
三浦 大作 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (60510873)
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キーワード | トランスポーター / 尿酸 / 痛風 / 高尿酸血症 / 腎尿細管 |
研究概要 |
痛風の基礎病態である高尿酸血症は、その9割の患者が腎臓での排泄低下に由来する。2002年に世界で初めて同定された尿酸トランスポーターURAT1に続き、申請者は2008年に新規尿酸排出トランスポーターURATv1の分子同定に成功し、両者がタンデムになり腎尿細管での経細胞性尿酸輸送を担う事を明らかにした。現在、尿酸排泄低下型高尿酸血症には尿酸降下薬ベンズブロマロンの投与が推奨されているが、重篤な肝障害という副作用を来す事もあり、それに変わる新規の尿酸降下薬創製が望まれている。 本研究では、URATv1を標的とした新規尿酸降下薬の創製を目的として、(1)URATv1トランスジェニック(Tg)マウスを検討対象とする高尿酸血症発症機序の解明、および(2)URATv1安定発現細胞を用いた尿酸輸送活性阻害化合物の選別、等の解析を行うことを目的とする。昨年度はURATv1が血管側で排出を行う尿酸の、管腔側での取込み口となる尿酸トランスポーターUrat1Tgマウスの解析を行い、Urat1Tgマウスではオス・メスともに野生型と比較して血中の尿酸値の変動が無いだけでなく、尿中への尿酸排泄も変化が無い事が確認され、かつDNAマイクロアレイを用いた検討でも遺伝子発現が野生型と比較して変動が殆ど無いことを明らかにした。これに続き平成22年度は、本研究課題の中心であるURATv1Tgマウスの解析を行った。その結果、オス・メスともに野生型と比較して血中の尿酸値の変動は無かったが、オスでは尿中への尿酸排泄がTgマウスで有意に低下する事が確認され、血管側のURATv1の過剰発現が、腎臓での尿酸再吸収を亢進させることで、高尿酸血症発症に寄与する可能性が示された。同時に研究協力者とともに、既存の薬物構造を用いてURATv1阻害作用薬の候補低分子化合物の合成を行った。
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