研究課題
「肝細胞の増殖に必須であるプロリンの作用機構の解析」初代培養肝細胞の細胞周期は通常GO期に維持されているが、増殖因子刺激に呼応して速やかに増殖(DNA合成)を開始する。この時、培養液中にプロリンの存在が必須であることが明らかにされている。私達は、プロリンが細胞周期G1/S期のサイクリンであるcyclin Dおよびcyclin Eの蛋白レベルでの発現蓄積を引き起こすことを見出した。cyclin Eの蓄積は、増殖因子からのシグナルにより発現誘導されたcyclin Dの下流で起こる細胞増殖に必須な現象である。しかし、プロリンの作用は増殖因子の存在に関わらず、プロリン添加のみで肝細胞のcyclin Eの蓄積が認められる。さらに、cyclin Eの蓄積は転写レベルの亢進ではない。cyclin Eはcdk2と結合しS期への進行に関与するが、その後、GSK-3βおよびcdk2によってリン酸化されることでcyclin Eのユビキチン化が起き、速やかにプロテアソーム系で分解される。GSK-3βの活性はAktによって負に制御されていることが知られているので、Aktの上流であるPI3K阻害剤を用いてプロリンの効果を調べた。その結果、PI3K阻害剤によってプロリンの効果は完全に消失した。また、プロリンはコラーゲンの主要構成アミノ酸であり、コラーゲン合成阻害剤によって初代培養肝細胞のDNA合成は阻害される。そこで、コラーゲン合成阻害剤がcyclin Eの発現に及ぼす影響を調べたところ、プロリンによるcyclin Eの蓄積は認められなかった。以上の結果より、プロリンから合成されたコラーゲンによってPI3K/Akt経路が活性化され、cyclin Eの蓄積に関与していることが示唆された。
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