本研究は、アクチン調節蛋白質Fhod1およびFhod3の生理機能を明らかにし、その制御を明らかしようするものである。平成21年度に私達は以下のような成果を得た。 (1) 私達は以前、心筋に豊富に存在するforminファミリータンパク質であるFhod3がアクチン線維形成を誘導することを示していたが、本年度は、HeLa細胞を用いたin vivo系において「Fhod3によるアクチン線維形成にはアクチン核化活性が必要なこと」を示し、さらに精製したFhod3および精製したG-アクチンを用いたin vitro系において「Fhod3がアクチン線維の反やじり端に結合してアクチン線維の伸張を調節すること」を明らかにした。 (2) ラット新生仔初代心筋培養細胞を用いて、ectopicに発現させたGFPタグ付きFhod3の蛍光顕微鏡による検出、および私達が作製した抗Fhod3抗体による内在性Fhod3の蛍光顕微鏡による検出を行い、「Fhod3がサルコメアの中央部のアクチン線維に特異的に局在すること」を明らかにした。 (3) ラット初代心筋培養細胞のFhod3をsmall interfering RNAを用いてノックダウンすると、アクチン線維の量が著しく減少するとともに、サルコメア構造の形成が強く抑制されることを示した。さらに、Fhod3ノックダウン心筋細胞に野生型Fhod3を戻すとアクチン線維の量の回復とサルコメア形成が回復すること、また、この回復にはアクチン核化活性が必要であることを示し、「Fhod3によって調節されるアクチン動熊が、横紋筋におけるサルコメア形成に決定的な役割をはたすことjを明らかにした。
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