研究概要 |
本研究は、補体レクチン経路の活性化機構と第2経路の関連を明らかにすることを目的として、当研究室で確立されたレクチン経路欠損マウスなどを用いて、レクチン経路活性化の分子基盤の解明を目指すものである。 本年度は、その機能が不確定なMASP-1に関して、第2経路のD因子の活性化に必須の因子であることを、MASP欠損マウスを用いて明らかにした。このことは、補体レクチン経路と第2経路が密接に関連し、MASP-1が補体系の中で重要な役割を果たしていることを示した。このデータは,国際学会に発表するとともに、論文をして公表した(J Exp Med. 207 (1) : 29-37, 2010)。 次に,その活性化の機構が不明であるMASP-3に関しても、MBLがぶどう球菌を認識すると活性化が起こることが判明した(投稿準備中)。また、MASP-3に関しても、MASP-1と同様に、第2経路のD因子の活性化に関与していることが明になった。 さらに、本年度は,補体レクチン経路と凝固系とのクロストークについて研究を行い、凝固が補体レクチン経路の活性を増強しているという結果が得られた(。無脊椎動物における生体防御が、凝固系と関連していることを考慮に入れると、補体レクチン経路は、凝固系とともに自然免疫の中心として機能してきたと思われる。このデータは,国際学会に発表するとともに、論文をして公表した(J Innate Immun. 2 : 33-42, 2010)。
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