研究課題
本申請ではこれまで分子生物学的手法で同定されたTRIMファミリータンパク質と癌化との関係に焦点を当て、細胞レベル及び個体レベル(マウス及びヒト疾患サンプル)での解析を進めることを目的としている。TRIMタンパク質が多くの転写因子(核内受容体:アンドロゲン受容体AR、エストロゲン受容体ER、レチノイン酸受容体RARなど)の活性やクロマチンリモデリングの制御に関与する知見を報告した。また、申請者はTRIM32、TRIM68、TRIM21及びTRIM40がそれぞれ頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、多発性骨髄腫、大腸癌の癌化制御に関与することを報告した。さらに、TRIM6がc-Mycの機能に関連することを示し、ES細胞の未分化能維持に重要であることを示した。また、TRIM40が消化管特異的発現をし、かつNedd8を相互作用することでNF-kBシグナルに影響をもたらすことを報告し、TRIM40が消化管における免疫反応に重要であることを示した。その他に、TRIM32がレチノイン酸受容体の転写活性に影響をもたらすことを示し、神経細胞分化や白血球分化に重要な役割があることが判明した。また、神経特異的発現をする新規のTRIMファミリー遺伝子TRIM67の神経分化における機能を示し、神経の発生に影響を与えるかを検討するためにノックアウトマウスを作製し、他の神経特異的TRIMファミリー遺伝子であるTRIM9に関してはノックアウトマウスを作製した。本研究計画により、、転写因子複合体やクロマチン構造制御複合体の制御においてまだブラックボックスであるユビキチン化機序に関する分子論的解明が進んだ。特に癌の中には乳癌、卵巣癌、前立腺癌のようにホルモン依存性に増殖を示すものが知られているので、本申請研究はこれらの癌に対する治療法のために重要な情報をもたらす可能性がある。
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