研究課題/領域番号 |
21390095
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中井 彰 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60252516)
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研究分担者 |
藤本 充章 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80359900)
瀧井 良祐 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00419558)
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キーワード | 蛋白質 / ホメオスタシス / フォールディング / 分解 / 転写因子 / ミスフォールディング病 / マウス |
研究概要 |
蛋白質ホメオスタシスの維持機構の1つが熱ショック因子(HSF1)を介する熱ショック応答である。これまでに、HSF1は蛋白質の変性を感知して蛋白質フォールディングを介助する熱ショック蛋白質(HSP)群、及び分解と関連する因子群を誘導することで蛋白質ホメオスタシス容量の調節を担うことを明らかにしてきた。HSF1は通常は単量体の非活性型で存在し、ストレスを受けると三量体の活性型HSF1へと転換する。HSF1の活性調節機構としてHSPによるフードバック制御あるいは化学修飾による制御が知られているが、その詳細については明らかにされていない。この調節機構の解明を目的として、HSF1と相互作用する分子の同定ど解析を試みた。 HSF1のN末端あるいはC末端にFlag標識をつけた発現ベクタムを作成し、HEK293に一過性に発現させた。抗Flag抗体を用いて免疫沈降を行い、沈降してくる蛋白質群を高感度のマススペクトロメトリーを用いて同定した。非ストレス条件下だけでなく熱ストレス刺激時と回復期を含めて網羅的に相互作用蛋白質の解析を行い、30種類の蛋白質を同定した。これらの蛋白質がHSF1による転写制御に寄与するかどうかを明らかにするために機能スクリーニングを行った。具体的には、同定された蛋白質をコードする遺伝子に対して、ショートヘアピンRNAをデザインし、それを発現するアデノウイルスベクターを構築した。マウス胎児線維芽細胞へこれらのウイルスをそれぞれ感染させ、熱ストレスによるHSP70蛋白質の発現を調べた。その結果、9つの遺伝子ノックダウンによってHSP70の発現が低下し、2つの遺伝子ノックダウンではそれが上昇した。づまり、同定された30種類のHSF1結合蛋白質のうち、少なくとも真1種類(37%)がHSF1を介する転写制御に関与していることが明らかとなった。
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