研究課題/領域番号 |
21390098
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
森下 和広 宮崎大学, 医学部, 教授 (80260321)
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研究分担者 |
谷脇 雅史 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (80163640)
中畑 新吾 宮崎大学, 医学部, 助教 (80437938)
山川 哲生 宮崎大学, 医学部, 助教 (60335825)
西片 一朗 宮崎大学, 医学部, 助教 (50253844)
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キーワード | TSLC1 / CADM1 / IgSF4 / TCF8 / ZEB1 / NDRG2 / 成人T細胞白血病(ATL) |
研究概要 |
成人T細胞白血病(ATL)のゲノム解析を行い、その発症進展関連遺伝子を単離し、機能解析を通じて新規診断法の開発、さらには治療法開発を行っている。これまでに、DNAマイクロアレイ解析を通じてATL新規表面マーカーとしてTSLC1を、ゲノム解析を通じて10p11.2領域よりTCF8/ZEB1を、14q11領域よりNDRG2遺伝子を同定し、その機能解析を行っている。 (1) TSLC1;接着因子でありATL細胞における高発現は白血病細胞の臓器浸潤性に係わっている。新規マーカーとしてPhage display法により特異抗体を開発し、FACS解析、磁気ビーズ法によるATL細胞分離法を開発した。末梢血中CD4+TSLC1+細胞分画は健常人では見られず、ATL細胞特異的であり、またHTLV-1キャリア検体においてもCD4+TSLC1+細胞分画はHTLV-1DNAコピー数と高相関を示した。さらに慢性型、くすぶり型HTLV-1キャリアのATL細胞を分離しゲノム解析を行う。 (2) TCF8/ZEB1は転写因子であり癌抑制候補である。ZEB1高発現はp21及びCCNG2の転写亢進により、ATL細胞増殖抑制を来たした。またTGFbeta情報伝達系においてSmad7、Smad3と結合し、Smad7の転写抑制能を不活化しTGFbeta情報伝達系を促進することがわかった。これらはTリンパ球分化段階におけるnegative selectionに係わると考えられる。 (3) 14q11領域から癌抑制遺伝子候補としてNDRG2を同定した。ATL細胞においては高頻度でプロモーターメチル化がありNDRG2の強制発現はATL細胞増殖抑制アポトーシスを誘導した。またNDRG2は口腔がんにおいても癌抑制遺伝子としての性質を示し、さらに病理組織染色によりPI3K/AKT情報伝達系の抑制化に係わることが示唆された。
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