研究課題
成人T細胞白血病(ATL)はHTLV-1感染より数十年を経て白血病化する難治性白血病であるが、ゲノム異常の蓄積が著しく、固形癌に近い複雑核型を示す。このためATLにおける白血病発症にはHTLV-1感染後に多くのゲノム異常、エピゲノム異常が蓄積し多因子による発症が考えられる。そこで我々は難治性急性骨髄性白血病に対する統合的ゲノム解析を行い、染色体転座集中領域の同定、並びに高密度SNPアレイを用いたゲノム欠失増幅領域の同定、並びに網羅的遺伝子発現解析を通じてATL発症関連遺伝子を複数個単離してきた。急性型ATLについてSpectral kayrotyping(SKY)法により、これまでに10p11、14q11、14q32領域に転座集中領域を同定し、それぞれの領域から候補遺伝子として、ZEB1(TCF8)、EPC1、NDRG2、BCLl1Bを同定した。機能解析として、ZEB1失活はSMAD7高発現と協調してTGFbeta情報伝達系の阻止、NDRG2はPI3KIAKTの恒常的活性化を行っており、EPC1は2番染色体上のAXSL2と融合遺伝子を作っておりポリコーム遺伝子として転写制御異常に関わることがわかった。またTSLC1をATLの新規マーカーとして同定し、CD4+TSLC1+分画をATL細胞と同定した。TSLClTGマウスはTリンパ腫と、皮膚炎症を、リンパ腫型ATLにZEB1欠損マウスは高頻度にTリンパ腫を引き起こし、NDRG2欠損マウスも全身性の癌を引き起こすことがわかり、さらなる機能解析を継続中である。この研究を進めることで、HTLV-1感染からATLへの段階的な白血病発症機構を明らかにしていく。
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