研究概要 |
本年度は,昨年度の経験を踏まえ単一遺伝子疾患の原因遺伝子同定のために次世代型シーケンサーを活用したシーケンスキャプチャー解析を行った。目標疾患は,Amyotropic Lateral Screrosis(ALS:筋萎縮性側索硬化症)とKabuki Syndrome(KS:歌舞伎症候群)とした。 第一目標であったシーケンスキャプチャー法の開発改良は,商業ベースのキットとして利用できるようになったために,自らの開発は止めて商業ベースのエキソン濃縮キットあるいは,デザインだけを行った後のエキソン濃縮キットを使用した。 歌舞伎症候群に関して米国Washington大学との共同によりexome解析を行った。データベースからデザインしたプローブを用いてエキソン濃縮を行って,Illumina社製の次世代シーケンサーGAIIを用いてシーケンス解析をおこなった。10名の歌舞伎症候群解析から,MLL2遺伝子の変異が歌舞伎症候群の原因であることを発見した。歌舞伎症候群原因遺伝子の報告は,論文としてNature Geneticsに報告した。MLL2遺伝子変異により歌舞伎症候群の80%は説明可能である。 ALSに関しては,Agilent社製の38M All exon capture kitによりエキソン部分の濃縮を行った後にGAIIを用いてシーケンス解析をおこなった。対象症例として狭い地域で発症した4名を選定した。全目的領域の80%以上の領域でdepth>10以上にて塩基配列が決定できた。しかし,患者に共通となるhomozygousな変異は見つけることが出来なかった。来年度に向けて,塩基配列が決定できていない領域についてのエキソン濃縮を行ってもう一度解析を行いALSの原因遺伝子特定を目指す。
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